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Close Up Tanazaki多奈崎に迫る

多奈崎市の特産「舞茸」のものがたり

2025-03-11T21:30:00

多奈崎市をはじめ、大積県を代表する特産である舞茸。その歴史に迫ります。

「まいたけ漬け」の発祥

多奈崎のまちと舞茸の繋がりは、今から400年ほど前まで遡ります。

近世初頭、当時の多奈崎藩藩主・麻見忠則が病床についていた時、見舞いに訪れた寺の和尚が舞茸の酢漬けを持参したところ、いたく気に入られた、という物語が、現在まで語り継がれています。

当時、舞茸は人工栽培が確立されておらず、自生していることも珍しい貴重なものでした。現在の多奈崎市高田町近辺に舞茸の自生地があり、例の和尚はそこで偶然見つけて、寺に大事に保管してあったのでした。

今でこそ郷土の一品「まいたけ漬け」として親しまれていますが、が庶民の間に広まることはしばらくの間なく、将軍への献上品という立ち位置でした。今でこそ庶民の味として広まっている舞茸ですが、当時は「幻のきのこ」とも目される、とても珍しいものだったのです。

人工栽培の確立

近代に入ると、シイタケやナメコの人工栽培法が確立されていく中で、マイタケについてもその試行錯誤が行われはじめました。

幾度とない失敗を重ねた末、1933年ごろ、県内の酒造会社で人工栽培に成功した最初の事例が報告されました。1960年ごろには県内の三濃市で創業した「北州フーズ株式会社」により大規模な栽培が始められ、次第に一般の食卓にも並ぶような食材になっていきました。